刀剣嫌いな少年の話

 布団の脇に座って、手を握り続ける。願うような気持ちで、じっと動かない。
 目に見えた穢れはなくなり、傷もなくなった。部屋の隅に置いてある刀掛けを見やれば、手入れが終わった打刀と脇差があるのが分かる。

 何度確認し ...

刀剣嫌いな少年の話

 稀少な刀を収集して、自慢する。太鼓鐘貞宗という短刀が確認された時点で、前任の審神者が執拗に求めたのは、当然の現象だった。

『〝貞ちゃん〟に会いたいと思わないか、燭台切』

 ろくに手入れもされていない体のまま、 ...

刀剣嫌いな少年の話

『ごめんな、みっちゃん』
『■■■■■』

 ――貞ちゃん……

   ***

 目を開けたら、布団の上にいた。何故布団に入っているのか分からなくて、一度気持ちを落ち着かせるために、意味も無く天 ...

刀剣嫌いな少年の話

 ――パリン。

 申し訳なさそうな顔で正座している眼帯男。その男の前には、綺麗に中央から放射状に分かれてしまった皿が一枚、置かれている。

「本当にごめんなさい」
「皿一枚ごときでしおらしすぎて逆に怖い」 ...

刀剣嫌いな少年の話

 本当はどこかで気が付いていた。

 あの子供が、今更政府が要求してきたからと言って、全員に演練に来てくれと頼むわけがないことくらい。あの子供なら、たとえ本当に政府が要求してきたとしても、言うはずなのだ。

 所詮 ...

刀剣嫌いな少年の話

 ――襲撃された本丸が静かになってからも、黒い管狐はただ必死に、審神者たちから託された少年を護らなければと、必死に霊力を込めて結界を維持し続けていた。
 政府直属の部隊が応援にやってきたのは、クロが霊力を使い果たして結界が解け ...

刀剣嫌いな少年の話

『おー! ひょっと、おんしゃあが噂の〝坊〟か!?』

 大きな声を聞いて、子供は体を震わせた。
 慌てて周囲を見回し、傍の空き部屋に入り込むと、そっと顔だけ廊下に出した。向かいから歩いてきた刀剣男士は、長い襟足を揺ら ...

刀剣嫌いな少年の話

 刀剣男士は消耗品だ。

 あの男は、そう言った。
 俺を拾ってくれた人だったから、ずっと恩を感じていたけど、多分初めての喧嘩をしたきっかけになった言葉だ。……今思うと、怒ってたのは俺ばっかりで、爺さんはひたすら俺を ...

刀剣嫌いな少年の話

こんにちは、トトです。

10月に更新すると言っていたのに、11月になってしまい本当に失礼いたしました……Wi-Fiが壊れたり色々ありまして……いえ、スケジュール管理が甘かったのも確かだと思います。11月ぎりぎり間に合いまし ...