ホットケーキと青い閃光 (DQ6)
「テリー、ブラック?」
看板で散々宣伝している自家製パンとやらを千切って口に運んで、洋風茶碗マグカップを手にしたところで顔を覗き込まれて、驚く。だが、すぐに驚く必要はないじゃないかと思い直して、表情を改めた。もう自分は、一人 ...
旅をやめた赤毛の少女 (DQ7)
―――こうして、お姫様は王子様と平和に暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
本を閉じると同時に、吐き忘れて胸のあたりに溜まっていた息が、ふっと口から漏れ出す。椅子の背に凭れて、体を伸ばした。久しぶりに読んだ童話は、主 ...
「弟」の俺たち (DQH2)
ガッキューイインチョー、というものが何か分からない彼であったが、とりあえず、何かと真面目で何かと場をまとめる役職とか、その辺りだろうと見当をつけていた。そして、姉には似合う役職かもしれない、と頭の端で考えていた。が、いざこうなると、 ...
ロトの石版 (DQツアー/DQ7)
目映い光。海の中のような碧、水中のような浮遊感は、体に馴染んだものだ。初めて「これ」を通ったとき、海の中みたいだと思ったことは、昨日のことのように覚えている。まだ魔物など、おとぎ話の存在でしかないと思っていた頃のこと。当時は沢山の世 ...
卑怯者 (DQ7)
「よーし、今日はここで野営とするぞー」
「荷物はまとめとけよ、必要なものだけ表に出しとけー」
アルス達と別れて、一か月が経過していた。
この時代に残ったオレは、あいつらに宣言した通り、ユバール一族のみんなと ...
そして、また (DQ7)
僕はきっと忘れない。
僕らの隣りに、かけがえのない親友がいたことを。
取り戻せないとしても、彼との時間は決して消えることはないということを。
* * *
世の中が平和になっ ...
奴隷生活の中 (DQ5)
パッシ――――ン、と大きく鞭が叩きつけられる音が響き、次いでドサ、と転ぶような音がする。
鞭を手にした、また奴隷達の監視役を担っている男・魔物使いは(ちなみに、「魔物使い」はモンスターでもある)、その子供の体中の痣を見つめ ...